25周年記念に引き続き、恭兵さんのお誕生日にありすさん企画を実現することができました(^^)
今回は、東京キッドブラザースのミュージカル「オリーブの枝」です。セリフの一つ一つ、じっくり読んで下さいね(^^)
ありすさん、ありがとうございました! |
東京キッドブラザ−ス 昭和54年8月期公演
オリ−ブの枝
作:東 由多加 音楽監督:小椋 佳 |
東京公演は池袋サンシャイン劇場でした。
これはキッドが・・・・というより柴田恭兵・三浦浩一 という2人がメジャ−になって、今までキッドのファンでなかった人たちが劇場に押しかけてきて、大盛況の公演でした。
恭兵・浩一両氏はテレビにも進出し出し、忙しい日々の公演であったのでこの時は<ダブルキャスト>を組み、そのためか主人公の青年の名前は<浩兵>といいました。
もちろん相手役の<少女>は坪田直子さんです。
作品はもちろん東さんが制作ですが、初めて小椋佳さんとコンビを組み音楽のほとんどを小椋さんが制作しています。
今まで、シアタ−365など、あまり大きな会場を使ってなかったキッドが大きなサンシャインの舞台でどう、芝居をしたらいいのか、と東さんが悩んだ末、前代未聞の「ロ−ラ−スケ−ト・ミュ−ジカル」というモノを生み出しました。
最近でこそ「光ゲンジ」なんていうグル−プがロ−ラ− スケ−トで歌ったりしてましたけどその頃は画期的・・・というより「な〜に、考えてんだ?」という感じでしたね。
新聞の「舞台評」のところにも「これは冒険です。キッドが大きい舞台で通用するか、僕たちの芝居がテレビのファンに受け入れられるか」という東さんのコメントがあったと記憶しています。
ですから・・・・舞台もロ−ラ−スケ−ト場で、働いてるウエイトレスも非常にポップな衣装で、みんなスケ−ト靴で、歌って踊る・・・。 サントラ盤をお持ちの方はご存知でしょうが異様に目立つショッキング・ピンクのカバ−ですよね。
会場で購入のパンフはたしか全員が遊園地のメリ−ゴ−ランドに乗っていたと思います。 ちょっと異質の舞台でした。
お話し・・・としてはちょっと世間の規格から外れた人 たちが集まるロ−ラ−スケ−ト場が舞台です。
世の中斜めに見て、どうせ自分にはいい明日は来ないとうそぶいたりしている中でも、実は夢があったり希望があったりする。でも努力してもうまくいかないんだよ、っていう人たちのところにふらっと<浩兵>がやってきます。
謎の人物なんだけどそこに集ってる人たちとは何となく打ちとける・・というか同じ匂いがするのかもしれない。
だれも信じなかった<少女>も<浩兵>に思いをぶつけます。
初対面なのにその思いを受け止めて理解しようとする <浩兵>「あなたは誰」という<少女>に<浩兵>は「あんたが 待っていた男だ」と 言います。そして「10時間だけ恋をしよう」
<2幕4話>
TOMORROW(歌)
君の長い影のむこうに Tomorrow
残り火が見える
明日に手を伸ばすように Tomorrow
振り向けば愛の叫びとささやきが Tomorrow
聞こえてくる
このままいけば
今日が明日を裏切ってしまう
どうせ傷つくなら君の手にナイフを持て
血と汗と涙が明日を切り開
オオオ−Blood Sweat&Tears
ア− ア−ア−
(繰り返し)
僕たちの長い影のむこうに Tomorrow
残り火が見える
今日に背を向けるように Tomorrow
歩き始めると愛の叫びとささやきが Tomorro w
聞こえてくる
このままいけば
明日は今日の続きでしかない
うつろな心を捨て君の生き様を見せろ
血と汗と涙が明日を切り開く
オオオ−− Blood Sweat&Tears
ア−ア−ア− (繰り返し)
血と汗と涙が明日を切り開く
Blood Sweat&Tears ア−切り開く
オオオ− Blood Sweat&Tears
明日を切り開く
この歌の時は客席にも照明が入りキッドの舞台では必ず行われていた「愛と連帯」の時間です。
役者は客席に駆け下り、観客の手をとって一緒に歌い踊ります。
客席に降りない役者は舞台から精いっぱい客席に手を伸ばして「いっしょに・・・」と問い掛けます。
キッドの舞台には必ずある光景です。
結構感動します・・・・「今日は泣かないぞ!」って決めてきても生身でぶつかってくる役者を目の前にしてるとなんだかグッときちゃうんですよね。
<2幕5話> 愛と死
浩兵 |
俺達何も出来なかったな、名前も名乗ってないし だけど俺、あんたを好きだったぜ。 |
少女 |
あなたはすべての愛がいつか過去の中に葬り去られてしまうものだと思っているのね。
違うわ。愛は飲み込んでしまったガラスの様に何時までたっても私の心の中でキラキラ光っているわ。
そして傷つけるの。あなたが居なければ私の心はいつも血を流し続けるわ。痛いの。消えはしないわ。
何時までもあなたと過ごした一瞬一瞬がよみがえってきて私の心の中で暴れまわるのよ。はっきりわかった。私はあなたを失っちゃいけないのよ。
遠くって何処へ行くの? 私も一緒にいくわ。 |
浩兵 |
だめだ、楽しかったよ。10時間だけの恋。俺も忘れないよ。 |
少女 |
どこへ? |
浩兵 |
人を殺しに。
俺は今日起きてベットで横になったまま昨日の飲み残しのコ−ヒ−をのんでいたんだ。そしたら突然、今こそ走っていってあいつを殺してやろうってそう思ったんだ。すばやくズボンをつけシャツを着て、俺はものすごく陽気になった。ゲラゲラ笑ったよ。
どうしていままで、こんなことをもっと前に思いつかなかったんだ。
どうして、どうして、俺は何処へ行くんだ。
そうだ!あいつを殺しに行くんだ!! |
少女 |
何故? |
浩兵 |
10年前に俺が育てたオリ−ブの枝を折ったあいつに復讐するんだ。
あんたは俺が冗談をいってるんだと思っているんだろ。違うぜ。これは正真正銘の遅れてきた殺人なんだ。
10年前までおれは小豆島にすんでいた。島中にオリ−ブが生い茂って銀色の葉の照り返しを顔いっぱいに浴びて育ったんだ。日が沈むころになると海が真っ赤に染まり島全体がスペインから輸入されたメロンみたいに黄金色に満たされる。俺はただ、そこで生きてた。そして死ぬまであの島で生きてるだろうってそう思ってた。あの頃の俺って野生の絶滅する寸前の野獣みたいに生きていたんだ。
ある日あいつがいうんだ。東京に行こうぜ。こんな島に一生いたら退屈で死んでしまうよ。第一何も起きてないし、起こせない。
東京じゃ人間がギラギラって輝いていて俺達と同じような連中が戦争を始めるんだ。うすのろの大人達にオリ−ブの実をぶつけるより、もっと怒りを込めて、公民館でみたドサ周りのボクシングよりもっと本気になってみんな戦ってるんだ。島を出て汽車に乗って東京へ行こうぜ!
俺が黙っているとあいつはオリ−ブの枝を折って俺を殴りつけるんだ。
腰抜け!腰抜け!東京に行こうぜ一緒に!
そういって何度も殴り付けるんだ。
俺達は島を出た。一緒に暮らした。デモに行ったり絶対不発するとわかってる火薬を仕掛けたり、郵便局を襲う計画を練ったり。
だけど、何も起きなかったし、何も起こせなかった。
5年程してあいつと別れた。1ヶ月前に俺は急に思い出して3日かかってあいつを探し出したんだ。
まっ、こぎれいなアパ−ト。あいつ結婚してた。
3つになる男の子。あいつは酒を注ぎながらいうんだ。
「おまえもそろそろまともな仕事についたらどうだ?」
おれはその時オリ−ブの枝で打たれた痛みを思い出したんだ。
俺は突然タイムカプセルに乗ったみたいに10年前のあの太陽がギラギラッて照り付けた銀色の光の中に戻ってしまったんだ。
こんなことは誰もわかっちゃくれないだろう。
だが、ロ−ラ−スケ−ト場で、ほんの小さな伝説にしてくれよ。
おかしな奴がいたって。ド−ナッツショップで、格好の噂説にしてくれよ。 |
少女 |
馬鹿げてるわ。あなたはナイフで人を殺しその人の奥さんと子供の一生めちゃくちゃにして・・。あ、あんた、死ぬつもりなのね。
そしてあたしの心の中にそのナイフをほうり込んで、そんなことして何になるの! |
浩兵 |
もちろん、なんにもならないさ。だがこのまま生きてたって、だらだら終わりの無いような時間の丘を歩き続けて何になる。
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少女 |
生きてさえいれば。
|
浩兵 |
そう、だからあんたは生きて俺の事を思い出してくれ。 |
少女 |
それくらいなら私があんたを殺すわ。 |
浩兵 |
それも良いだろう(ゆっくりと少女に近づき抱 きしめる。長い沈黙。浩兵崩れ落ちながら)。
丁度10時間たったね。おしまいだ。 俺が死んだらオリ−ブの木の下に埋めてくれ
・・・・夜明けだ。
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と言うと舞台が黄金色になりオリ−ブの木が浮かび上がります。 倒れた浩兵、そこにたたずむ少女をそのままにエンディングになります。
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ど〜でしたか?少しは雰囲気おわかりいただけたら嬉しいです。 私もかなり幼なかったので(?)記憶違いの所もあるかと思います。
それは平にご容赦を!
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Special Thanks ありすさん
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